デジタル写真にこだわりがある人はJPEGではなくRAWで撮影していると思います。
JPEGというファイル形式は統一されたものなので写真を扱えるソフトならどれでも開くことができます。
しかし、RAWファイルはカメラメーカーごとに固有のものなので純正の現像ソフトあるいは異なるカメラメーカーのRAWファイルを複数扱えるサードパーティ製の現像ソフトが必要になります。
私はずっと市川ソフトラボラトリーの【SilkyPix】を使ってきました。
2015年3月現在、最上位版の最新バージョン(プロフェッショナル判)は【SILKYPIX Developer Studio Pro6】で、「400種類以上のデジタルカメラに対応した高画質RAW現像ソフトの最上位版」という位置づけです。
パッケージ版が2014年10月10日に、ダウンロード版が2014年12月19日に、それぞれ発売されています。
デジタル一眼レフカメラを使い始めたのが2006年で、ペンタックスのカメラでした。
まだ譲り受けたものを試験的に導入したので、ペンタックスを使い続けるか、ニコンに行くかキヤノンに行くか、あるいは別のカメラメーカーにするのか、まだ決めていませんでした。
当時は、私にとってはどのカメラメーカーで機材を構築するかを決めるには不確定要素が多すぎたのです。
それで、どのカメラのRAWでも扱える現像ソフトがよいだろうと思い「SilkyPix」ユーザーになりました。
また、当時は新しいカメラに対応するのがダントツに早かったのもSilkyPixを選択した理由です。
それ以来、他のソフトに心移りする理由もなく今に至っています。
ところが、
最近コンピュータメーカーの「mouse computer」がフォトグラファー向けのコンピュータ【MDV for Photo】シリーズを発売しました。
デジタルフォトデータの管理、RAW現像などの写真編集を快適に行うために設計されたPCが、MDV for Photoシリーズです。高速なデータ取り込みから、写真の管理、編集、加工はもちろん、Adobe RGBに準拠したカラーマッチングまで、多くのフォトグラファーのために、PCメーカーだからできる快適なPC環境をお届けします。
それには「プロカメラマンの写真管理ソフトウェアの定番とも言える、Adobe Photoshop Lightroom をインストール済」とあります。
そして、
Adobe Photoshop Lightroom にはカタログと呼ばれる「統合管理機能」があり、PC 内の全てのデジタルフォトデータを一元管理することができます。夜景や人物などのタグ付けやレタッチなどを行っても元の画像ファイルに影響しない「非破壊編集方式」を採用、複数のカメラRAW ファイルも扱えるため、カメラブランドごとに写真管理ソフトウェアを使い分ける煩わしさから解放されます。
とあります。
確かに、Adobe Photoshop Lightroom というソフトはよく見聞きします。
単なる現像ソフトと思っていましたが、写真データを一元管理する機能も優れているようです。
ネットを検索すると、写真管理ソフトと紹介している人もいます。
最初は、紛らわしい書き方なので、RAW現像機能はおまけ機能なのかと思ってしまいました。
個人的には写真管理には興味がないのですが、ネット上でもこの管理機能の恩恵にあずかっている人と不必要と思っているユーザーに2分されるようです。
アドビのソフトはPhotoshop系では【Photoshop Elements】をバージョンアップをしながらずっと使っているので、信頼もおけるだろうし期待もしてよいソフトだろうなと思います。
そして、マウスコンピュータがフォトグラファー向けのPCに【Adobe Photoshop Lightroom】を搭載したということもあり、調べるにつれて俄然興味が湧いてきました。
そういえば、今年の1月に参加したレタッチとカラーマネージメントの講習会でも、【SilkyPix】に言及した講師はいませんでしたね。
ニコンとキヤノンの現像ソフト、そしてアドビの【Photoshop】と【Lightroom】しか話に出なかったと記憶しています。
実演しながらのレクチャーでは、使っていたのは確か【Lightroom】だったように思います。
【SilkyPix】は主流ではないのでしょうか?
【SilkyPix】に大きな不満がなかったので、そんなこと今まで考えたこともありませんでした。
しかし、大きな不満がないということと、他のソフトを調べてみる価値はないということは全く無関係ですね。
より魅力的なソフトがあるのなら使ってみるべし、と思うのです。(^^)
ついでながら、
EIZO ColorEdge CG277(キャリブレーションセンサー内蔵)でカラーマネージメント
で書いたのですが、
主にネットの情報を基にしてカラーマネージメントの勉強を一からやっています。
あるサイトで、「一番簡単にカラーマネジメントする方法」として、
「簡単にカラーマネジメントを導入したいなら悪いこと言わないのでアドビのソフト(Photoshop, Elements, Lightroom)を使いましょう。」
と提案し、その理由も明記しています。
ということなら、なおさら【Lightroom】を調べたくなるではありませんか。
・・・「かなりその気になっていますね。」と冷静な自分が言っている。(^^)・・・
この記事のコンテンツ
Adobe Photoshop Lightroomの無料体験版
【Lightroom】の情報を検索していると、最新版「Lightroom 5」の「30日間無償体験版」があるのを知り早速ダウンロードしてみました。
アドビ製品は初めてという人は【Adobe ID】を取得する必要があります。
無事にダウンロード&インストールが終了し、ソフトを立ち上げると、私の環境(モニタの解像度)では「ツールバーが小さ過ぎて液晶に顔を近づけないとよく見えません。
この時点でテンション大いに下がりましたが、何か方法があると思ってメニューの各項目の中を調べてみると「編集」の中に『環境設定』というのがありました。
ここの「フォント」を大きくすることで、ツールバーそのものとそこに表示されているフォントを大きくできます。
その分、写真を表示させるスペースが小さくなるのが残念ですが贅沢は言えません。
150%拡大が目に優しいのですが、作業スペースとのバランスから「中」を選択しました。
Lightroomを再起動すると変更が反映されます。
このオプションがなかったら、使う気にならなかっただろうと思います。よかった。(^^)
【SilkyPix】にはこの設定オプションが設けられていないように思います。(ありますかね?)
買い換えたモニタでは、ツールバーの文字が【Lightroom】ほどではないですが、 小さくて見づらいので何とかして欲しいと願います。
ソフトを立ち上げた直後の第1印象は、”とっつきにくい”という感じです。(^^;)
慣れの問題だけではなさそうです。
写真管理を飛ばして、直接任意のRAWファイルを開くことはできないようですね。
「カタログ」とか「ライブラリ」、さらには「コレクション」という考え方を理解しないと何も始められないようです。
基本的な使い方を調べないと先に進めなさそうという状況は、画像を扱うソフトでは初めてのことです。(^^;)
幸い、ユーザーが多いのでネット上に使い方のチュートリアル的情報は多そうですし、Adobeのサイトにも情報はあるでしょうね。
まずは基本の使い方というか、このソフトの”入り口”を勉強するところから始めることにします。
別件で書店に行ったので【Lightroom 5】のマニュアル本を見てみると何種類もありました。
使い続けるのであれば、1冊ぐらいは買った方が良いかもしれません。
無駄な時間の節約になりそうです。
Adobe Photoshop Lightroomの気になった7つの機能
【SilkyPix】ユーザーとしては、特に下記の機能に興味があります。これらの点を中心に使ってみようと思います。
1.修復ブラシ ⇒ 写真に写った不要なものを取り除く機能
写真の中のゴミなどの邪魔なものを取り除く高度な修復ブラシで、複雑な形状の不要オブジェクトでもきれいに消し去ることができるようです。
【SilkyPix】にも同様の機能がありますが、複雑な形だと微妙に跡が残ったりするのですが、【Lightroom】ではどうなのでしょう。使い込まないと比較はできないでしょうね。
2.Uprightテクノロジー ⇒ ワンクリックで傾いた画像を修正する機能
Uprightが画像を分析し、傾いた水平線や建物などの垂直線の収束など、歪みを検出したら自動でまっすぐに修正してくれるようです。便利そうです。期待大!
3.円形フィルター ⇒ 円形で指定したところを部分的に調整する機能
画像の重要な部分をより多彩な方法で強調。反転も可能なようです。これは【SilkyPix】にも欲しい機能です。使えそうな場面がたくさんありそうです。これも期待大!
4.ハイライトとシャドウの復元機能
暗く潰れてしまった部分も、白飛びしてしまった部分も、シャドウ部とハイライト部を個別に補正することで救済し美しい写真に仕上げる機能。【SilkyPix】にも同様の機能がありますが、白飛びした部分に関しては最新版でもまだ満足できるレベルではないので、【Lightroom】に期待したいところです。でも白飛び部分に元々データがなければ無理ですよね。
5.補正ブラシ ⇒ 写真内の必要な部分だけに補正を適用させる機能
補正ブラシは、補正したい部分をブラシでなぞるだけで、明るさ・コントラスト・ホワイトバランス・シャープ・ノイズ低減などの補正を行うことができるようです。
個人的には「ホワイトバランス」の部分的補正を試してみたいですね。
6.ノイズの低減・除去機能
高ISO感度の写真のノイズを、驚くほど自然に除去することが可能とのこと。検索すると評判が高い機能の1つがこれです。
画像全体にも特定の範囲にもノイズの低減を適用できるのは、【SilkyPix】も同様ですが、問題はどちらが質が高いのかということですね。特に、星景写真において期待したいポイントです。
7.現像プリセット
【SilkyPix】の「テイスト」と同様に、自分の好みの現像設定をプリセットとして保存しておけば、いつでもワンクリックで別の写真に適用可能。
【SilkyPix】が用意しているものは数が少なく、どちらかというと特殊な効果をもたらすものが目立ちます。
【Lightroom】の方は、より多くのプリセットが用意されているようだし、また、他のユーザーが作ったプリセットを数多く入手することもできるようです。この点にも期待したいと思います。
★2015年3月29日追記:
【Lightroom】のプリセットも【SilkyPix】のテイストと同様に実際に使えるのは少ないです。いろいろな写真を現像してみて使えるのは、「ポジプリント調」のみです。
まとめ
【Lightroom】に乗り換える価値があるのかどうか判断しようと思って情報収集するのと併行してこの記事を書き始めたのですが、どうも【Lightroom】を甘く見ていたようです。
というのも、今まで基本的な使い方に関する限り、解説文などのお世話になったことは初めてパソコンを使い始めた時ぐらいしかなく、【Lightroom】もそこそこ使えるだろうと思っていたのです。
インストールしたばかりでまだ先に進めない情けない状況ですが、確かめたい点は決まっているので試用期間の1ヶ月の内に使い慣れて、現像ソフトとしての両者の特徴を具体的にご報告できるようになればよいのですが。
乞うご期待!と書きたいところですが、途中でくじけないか、ちょっと不安を覚えています。(^^)
もし両方のソフトに詳しい方がおられましたら、【SilkyPix】に比して【Lightroom】の優っている点を教えていただけるととても有り難いです。
追 記
2015年4月中旬に、Lightroom 5の乗り換え版を購入しました。
この記事の表題の「乗り換えるべきか?」には簡単に答えは出せませんが、乗り換えた方が幸せになれそうだったので、私は乗り換えました。
追 記(2015年11月28日)
「SILKYPIX Developer Studio Pro7」のベータ版が公開されました。
◎特に気になる改善点は、
★円形補正フィルタ ★段階補正フィルタ
★ハイライトの階調性向上 ★露出減感時のハイライト復元向上
です。
今年の春先に【Lightroom】を試用版を使ってみて、あっさりとLightroomユーザーになりましたが、それはまさに上記の点が優れていると感じたからです。
SILKYPIXのユーザーをやめた訳ではありませんが、今はビューワー代わりに使っているだけです。
個人的な意見ですが、
現行の『SILKYPIX』の残念なところは、Lightroomのように「円形補正フィルタ」や「段階補正フィルタ」がなかったところですが、今回のバージョンでは採用したのでこだわった編集ができるでしょうね。
もう一つ大きな残念ポイントは、
白トビ救済は”私の場合は”実用レベルではなかったり、ハイライトの階調性がよくなく太陽を入れ込んだ逆光写真では光芒が美しく表現されないところです。
この点ではLightroomの方がはるかに優れています。
後者の光芒の再現性がどこまで改善されているか興味のあるところです。勉強のために、ベーター版をダウンロードして使ってみようと思います。
2016年5月25日追記
私のように太陽に向かってシャッターを切り光芒を美しく描写したいと思うのであれば、Lightroom に乗り換えた方がよいと思います。
少なくとも私はそのようにお薦めしたいと思います。
前回の「追記」から約半年間、光芒の写真だけでなく、広く逆光の写真を現像してきて、「SILKYPIX」では表現できないことが【Lightroom】ならできると実感できる機会が多くありました。
確かなのは、逆光写真の再現性に関する限り、【Lightroom】で表現できなければ「SILKYPIX」でも無理ということです。
上記は私の私見ですので、後はみなさんがご自分の目で確かめてください。