このブログを開設して1年近くになりますが、その間に幾度となく記事中で「私の”山岳写真”の流儀」である撮影スタイルについて触れたことがあります。
その撮影スタイルとは、
太陽に向かってシャッターを切る!
です。
30年以上の間、この姿勢を貫いてきました。
たとえば、今年の秋にはこのような写真をたくさん撮りました。
今回は、この逆光写真への長年のこだわりについて書いてみようと思います。
フィルム時代は経費節約しなければならないので、”無駄撃ち”を控えていました。
つまり、明らかに「作品」にならないような条件の時はシャッターを切らないようにしていたのです。
ちなみに、インターネットの時代になってからは、サイトやブログにアップする写真が必要になり、「作品」以外の写真も普通に撮るようになりました。
そのフィルム時代に撮影した私の山岳写真作品のおそらく90パーセント以上が逆光もしくは半逆光での撮影だと思います。
私のホームグラウンドは石鎚山系です。
その中でも特に、石鎚山弥山頂上からの天狗岳の御来光風景、石鎚山の”展望台”的存在の瓶ヶ森(1897m)から見た夕刻の石鎚山の風景がお気に入りの被写体でしたし今もそうです。
どちらもほとんど真逆光になる条件です。
ドラマチックな写真が撮れるのがこのような場所であり、そこからの被写体が逆光になる条件だったので、必然的に逆光写真が圧倒的に多くなりました。
ブロッケン現象のように、真順光で起こる”ドラマ”も中にはありますが、多くの”ドラマ”は逆光・反逆光の中で起こります。
したがって、『太陽に向かってシャッターを切る』ことを流儀として実践してきたのです。
これからもその流儀は守っていきたいと思っています。
また、今年から本格的に取り組み始めた”山岳星景写真”においても、「月」に向かってシャッターを切りたいと思っています。
「山岳星景写真」については下の記事に詳しく書いています。
★参照過去記事⇒「山岳写真と星景写真の融合を目指す!」
フィルム時代の逆光写真
どのような逆光の山岳写真を撮っていたのか何点かご覧ください。
◎天狗岳黎明:35mm版:50mmの単焦点レンズ使用
太陽をフレームアウトしていますが、日の出直後の強烈な朝日が射していました。
1982年から石鎚山の写真を撮り始め、1985年版の「アルパインカレンダー(山と渓谷社)」で特選(2点のうちの1点)に選ばれた作品です。
その後、「山と渓谷社」が旧西ドイツの何かしらのコンテストに応募し、上位の賞を貰いポスターになったと聞いています。
この作品がきっかけとなって「山岳写真」を志すようになった記念すべき1点です。
◎天狗岳紅環:35mm版:35mmの単焦点レンズ使用
◎天狗岳御来光:35mm版:35mmの単焦点レンズ使用
◎天狗岳霧氷の朝:中判カメラ(6×6版):50mmの単焦点レンズ使用
◎天狗岳霧氷の朝:中判カメラ(6×6版):80mmの単焦点レンズ使用
デジタル時代の逆光写真
上の作品は、私の「デジタル写真元年」に撮影したものです。
ここからは、今年、2015年に撮影したものです。
逆光写真を、ゴーストをほとんど気にしないで撮れるカメラとレンズを手に入れて本格的に使い始めたのが今年の春からです。
そういう意味では、今年が私の『デジタル逆光写真元年』ということになります。
最後の2点は、「月」に向かってシャッターを切った作品です。
逆光写真はカメラとレンズを選ぶ
ゴーストやフレアを心配せずに太陽に向かってシャッターを切るためには、逆光耐性に優れた機材が必要です。
この写真の右隅をご覧ください。(分かりやすくするために部分的に明るくしています。)
朝日の上にもゴーストが発生していますが、その比ではない大きさのゴーストがこの部分に出ています。
作品を破綻させるゴーストと言うべきでしょう。
このようなレンズでは、逆光写真は安心して撮れません。
そのためには機材を選ぶ必要があります。
幸い、今はネットの情報に注視していれば必要な情報は手に入ります。
上述したように、私は自分が満足できる「ゴーストをほとんど気にしないで撮れるカメラとレンズ」を見つけたので、逆光写真は今後はそのセットで撮っていくことになります。
このことに関しては、後日別記事にて紹介させていただきます。