スプリング・エフェメラルとは?
落葉広葉樹林では,夏には濃く繁っていた樹木も冬になる頃にはすっかり葉を落として身軽になる。そして厳しい冬も過ぎ,寒さが和らぎ始める。まだ若葉も出ていない早春から春にかけて,陽射しがよく通り森や林の中は驚くほど明るい。
雪融けとも重なるこの時期,落葉に覆われた林床では,春を告げる植物たちが暖かい陽光を感じながら落葉の下で静かに美しい花を咲かせる準備をしている。
雪がすっかり消えたころ樹林下では,つかの間の春を謳歌するがごとく,花を咲かせるだけの力を蓄えた植物たちはいっせいに蕾を出すと瞬く間に可憐な花を咲かせる。そして,林床は華やかな森の楽園になる。
しかし,儚くも,その花もすぐに終わり葉だけの姿になる。急いで光合成を行うと,その葉も夏が本格的になる頃には枯れ,この早春植物たちは地上からその痕跡を消すことになる。そして,次の年の春先まで一年の大半を,地下茎や球根だけの姿で地中で過ごす。
こういうライフ・サイクルを持つ林床性多年生植物を総称的に,「スプリング・エフェメラル(spring ephemeral)」と呼ぶ。<ephemeral>は emotional words(情緒的な語) の1つで,「はかない,短命の,つかの間の」を意味する形容詞だ。
フクジュソウの図鑑情報
◎キンポウゲ科 セツブンソウ属
一番早くに春の近いことを教えてくれる「春を告げる草」,福寿草が咲き始めるのは2月下旬です。
他の春の妖精たちと比べると大柄ですが,代表的な『春の妖精(=スプリング・エフェメラル)』です。
日が当たっている時だけ花を咲かせるので,撮影に際しては天気と時間帯に注意する必要があります。
フクジュソウは、明るい落葉樹林の下などに生える多年草で,早春に菊の花に似た光沢のある黄金色の花を咲かせます。
花冠は直径約3~4cmで,花弁の数は図鑑の情報を総合すると10~30枚と幅があるようです。
日が陰ると花は閉じてしまいます。
江戸時代は「一番に春を告げる草」という意味の「福告ぐ草」と呼ばれていました。
しかし,語呂が悪いこともあり,また旧暦の元旦頃から咲き始める目出度さを表す意味もあり,「告ぐ」が「寿」に差し替えられて「福寿草」となったそうです。
それからは,「寿」が長寿をも示唆することも手伝って喜ばれ広く定着したとのことです。
四国の福寿草の自生地情報
◎大豊町― 公式ホームページ「福寿草祭り」
◎福寿草の里 南大王 じゃらん観光ガイド