【Lightroom】に備わっている機能の1つに「コレクション」と名のつく機能が3種類あります。(”コレクション”は、correction(訂正)ではなくcollection(収集)に由来すると考えられます。)
今回は、その3種類の『コレクション』に焦点を当てて、それぞれのコレクションの特徴を理解しながら、その活用の仕方を学びたいと思います。
念のために、
「コレクション」の機能を把握するには、「カタログ」という概念を理解しておく必要があります。
★参照記事 ⇒ RAW現像ソフト【Lightroom】の最初のハードル「カタログ」を乗り越える!
何らかのプロジェクト(写真のアウトプット目的)のために、複数の写真をグループ化して1カ所にまとめて作業の効率化を図る目的で使用されるのが「コレクション」です。
まずは、ここでいう「プロジェクト」の意味を定義しておきたいと思います。
フォトギャラリーやスライドショーを作成したり、フォトブックを作成するなど、複数の写真を1つの目的のために使用することを「プロジェクト」と呼ぶことにします。
この記事のコンテンツ
【Lightroom】の持つ3つの”コレクション”
「コレクション」と名のつく機能には3種類あると上述しました。
その3種類とは、
「コレクション」と「スマートコレクション」と「クイックコレクション」です。
「ライブラリーモジュール」画面で見ると、左サイドバーの「ナビゲーター」の直下に、「カタログ」パネルがあります。
その中に、「クイックコレクション」があります。
さらにその下の「フォルダ」パネル(下の画像では閉じた状態)の下に、「コレクション」パネルがあります。
ここには、「スマートコレクション」があります。
これで、それぞれの「コレクション」がどこにあるか分かったと思います。
1.「スマートコレクション」とは?
「スマートコレクション」とは、「スマートコレクション」作成時あるいは作成後に条件を設定するだけで写真のメタデータを解析して条件に合う写真をカタログから自動的に抽出しグループ化してくれるものです。
一度作成した後は、写真を読み込むたびに条件に合うものはスマートコレクションの中に自動的に収納してくれます。
これには、プリセットされている条件(上の画像にある「5つ星」などの分類項目)に基づいて自動的に生成されるものと、ユーザー自身による定義に基づいて何かのプロジェクトのために任意に作成することのできるものがあります。
後者に関しては、
例えば、レーティングが「5つ星」で、さらにカラーラベルが「赤」の写真をすべてグループ化した「スマートコレクション」を任意の名前を付けて作ることができます。
「スマートコレクション」を作ろうとすると、上のパネルが表れます。
そこで、選択肢の中から任意の条件を複数指定することができます。
例えば、レンズを指定できるだけでなく、その焦点距離までも指定できます。
したがって、ズームレンズの最広角側で撮影した写真だけをコレクションすることもできる訳です。
注意としては、
任意の写真をドラッグして追加したり並べ替えたりはできません。
したがって、”絞り込む”たまの機能という要素が強いと言えます。
私が「スマートコレクション」を利用するとしたら、プロジェクトの前準備として、たくさん写真から使用写真の”絞り込み”を行う場合でしょうか。
あるいは、オールドレンズを楽しんでいるので、特定のレンズで撮影した写真だけを選び出したい場合などにも利用できるかもしれません。
もちろんそのためには、必要なメタ情報なりキーワードなりを登録しておく必要があります。
任意の「スマートコレクション」から「コレクション」を作成することもできるので、絞り込みが効率的に成功すれば、そのまま「コレクション」として利用することも上手な利用法だと思います。
私はたぶん積極的に使うことは少ないと思います。
むしろ、次の「コレクション」や「クイックコレクション」の方を使うでしょう。
2.「コレクション」とは?
後述する「クイックコレクション」を、”一時的な作業フォルダ”とすると、「コレクション」は再利用目的を前提に永続的に保存しておくフォルダと言えるでしょう。
「コレクション」に入れる写真はすべて自分の意思で選択し追加や削除を行います。自然に生成されるものではありません。
例えば、ウェブギャラリーのために使用する写真を「コレクション」を作成してグループ化します。
その際に、コレクションの内容が分かるような名前をつけておきます。
後日、それをさらにスライドショーにするとします。
そうすると、もう一度一から使用写真を選択し直すというような手間が省けます。
「コレクション」内では、「スマートコレクション」とは異なり、写真の追加・削除や並び替えを自由に行うことができます。
ちなみに、同じ写真を複数の「コレクション」に入れることもできます。
ここでは例として、「カタクリのベスト集」という「コレクション」を作り、15の作品を選んでみましたが、このベスト集を将来再び使う可能性がある場合は、このまま残しておけばよいのです。
不要になった時点で自由に削除することができます。
3.「クイックコレクション」とは?
「クイックコレクション」とは、一時的な作業フォルダと考えるのが一番簡単だろうと思います。
私はデスクトップ上に「作業フォルダ」という一時的にファイルを収納しておくスペースを設けています。主に画像を置くのに使っています。(元画像を置くのではなく、主にTIFFやJPEGに書き出したものです。)
何かのプロジェクトのために一時的に利用するものなので、作業が終われば「作業フォルダ」の中は移動や削除で空にします。
「クイックコレクション」もこれと同じで、カタログから任意の写真を何かのプロジェクト用に選び出しグループ化しておくスペースです。
一時的作業フォルダなので、「クイックコレクション」を追加して増やすことはできません。
「クイックコレクション」は、1つのカタログに1個だけです。
ライブラリーモジュールでは、「コレクション」と同じように、フィルムストリップあるいはグリッド表示で表示できます。
また、いつでも追加や削除を行うことができます。削除しても、元データやカタログから削除されることはありません。
どのコレクションを使っても、カタログの写真そのものをコレクションに”移動”させている訳ではないので、削除してもカタログには、まして元データには影響がないということです。
一時的な作業フォルダである「クイックコレクション」を名前を付けて保存することで、永続的な「コレクション」に変換することができます。
4.「対象コレクション」の意味と使い方
「クイックコレクション」の右に付いているプラス記号「+」は、追加や保存という意味ではなく、「対象コレクション」であることを示す印です。
ついでながら、「コレクション」パネルのタイトル「コレクション」の右端にあるマイナス記号「-」とプラス記号「+」は、それぞれ「選択したコレクションを削除」そして「新規コレクション」を作成という意味です。
「対象コレクション」というのは、写真を選んで右クリックのメニューから追加をする場合、あるいはショートカットキー「B」で追加をする場合に、その対象となるコレクションであるという意味のようです。
任意の「コレクション」から右クリックのメニューを使って写真を削除したり、フィルムストリップやグリッド表示から直接ドラッグで写真を追加をする場合は、「対象コレクション」以外の「コレクション」も選択できますので、「対象コレクション」という考え方は意味をなさないことになります。
「対象コレクション」はデフォルトでは、「クイックコレクション」ですが、他の「コレクション」を指定することもできます。
例えば、「カタクリのベスト集」を指定すると、「+」が「クイックコレクション」から消え、「カタクリのベスト集」に付きます。
すでに作ってある任意の「コレクション」に写真を追加するような場合に、その「コレクション」を保存先として指定するために「対象コレクション」として設定する、と理解すればよいと思います。
5.「(クイック)コレクション」への写真の追加方法
(1)フィルムストリップ/グリッド表示で1枚あるいは複数枚の写真を選択して、「クイックコレクション」あるいは「コレクション」にドラッグする。
(2)フィルムストリップ/グリッド表示で1枚あるいは複数枚の写真を選択して、右クリックのメニューから「対象コレクションに追加」をクリックする。(必要に応じて、「対象コレクション」を設定しておく必要があります。)
(3)フィルムストリップ/グリッド表示で1枚あるいは複数枚の写真を選択して、ショートカットキー「B」を押す。(必要に応じて、「対象コレクション」を設定しておく必要があります。)
(4)フィルムストリップ/グリッド表示で1枚あるいは複数枚の写真を選択して、マウスポインターをサムネール画像の上に置くと、その画像の右上角に円が表れるので、それをクリックする。
コントラストが低いので最初は気づきにくいかもしれません。この場合も、必要に応じて、「対象コレクション」を設定しておく必要があります。
あらためて注意点ですが、ドラッグ以外は、「対象コレクション」に追加されるので、「対象コレクション」をしっかりと認識しておく必要があります。
さもないと、複数回に渡って追加作業をした場合、グループ化したはずの写真が無いことに、編集作業した後から気がつくなどということも起こるかもしれません。
6.「コレクションセット」とは?
「コレクションセット」とは、1つまたは複数のコレクションを収納する大きなフォルダのようなものです。
例えば、山野草の写真を花名でグループ化して、それぞれを1つの「コレクション」にしているとします。
「イチリンソウ」のコレクション、「カタクリ」のコレクション、「ヤマシャクヤク」のコレクション、「クマガイソウ」のコレクション、…という具合に。
「山野草」という『コレクションセット』を作って、上のコレクションをすべてそこに収納します。
このように、ある一定の条件で写真を整理し、管理する利用価値の高い選択肢です。
理屈を理解してうまく活用すれば、整理整頓および管理の大きなツールとなってくれるでしょう。