代表的な『春の妖精(=スプリング・エフェメラル)』の1種です。
春の妖精(スプリング・エフェメラル)—”早春植物”とか”春植物”と呼ばれることもありますが—という表現の意味については、「春の妖精」という記事に詳しく書いていますので、そちらを参考にしてください。
下の写真からうかがえるとおもいますが、このような明るい林床に群生します。
その様子は圧巻です。何時間いても飽きません。
しかし、残念ながら、この場所は数年前に、鹿の食害で壊滅的な被害を受けたそうです。
自分の目ではまだ確かめていませんが、根こそぎやられたので、まばらにしか残っていないと関係者から聞いています。
他の春の妖精たちと比べるとずいぶんと大柄な印象ですね。
太陽が昇り気温が上昇しないと開花しないので、早朝から現場に出かけてもお顔を見ることはできません。(^_^)
撮影に際しては、天気と時間帯に注意する必要があります。林床だと、環境にもよりましょうが、10時頃から咲くのではないでしょうか。
カタクリの図鑑情報
◎ユリ科 カタクリ属
花名の由来としては、「片栗」はクリの子葉の一片に似ているからだそうです。
愛媛県は「絶滅危惧2類(VU)」に指定しています。私自身は、自生地は一カ所しか知りません。
山中にて多くは群生する草丈15cm位の多年草。1茎に1花と1対の葉があります。
花茎の下部に対生状につく2枚の葉は狭卵形あるいは長楕円形をしています。
厚く軟らかく,表面に紫色の斑紋があるのが特徴ですが,生育地によってはまったく見られないそうです。
私自身もまだ見たことがないのですが、生育地によって異なるというのはなんだか不思議ですね。
直径5cm前後の紅紫色の花を茎頂に1つずつ下向きに咲かせます。
稀に白花もあることを知り、楽しみに自生地に行くと幸いいくつかの個体に会えました。
花被が強く反り返るのも特徴的だですが,おもしろいことに、その内面に濃紫色のW字の紋があり、自然の造形美を感じます。
昔は「りん茎」から良質のでん粉をとったそうで,片栗粉という名称にその名残があります。
その役目はジャガイモが取って代わられて久しいので、知識でしか知らないのが実情でしょう。
まだまだ花の少ない山の遅い早に咲くので,その色・姿と相まって実にかわいらしい花です。
見方によっては、そのうつむいた咲き方が乙女の恥じらいのように映り,可憐さを増しているようにも感じられます。
カタクリの花のスライドショー
12枚のカタクリの花を「スライドショー」にして、石鎚自然写真館の『春の妖精』コーナーにアップしました。
ぜひその愛らしい姿を見てやってください。