本ブログのタイトル『Sense of Wonder(センス・オブ・ワンダー)』は、レイチェル・カーソン著の「The Sense of Wonder」に由来します。
レイチェル・カーソン女史をご存知でしょうか。
彼女は「美しいもの,未知なるもの,神秘的なものに目を見はる感性」を育んで欲しいというメッセージを遺作に託しました。
★参考サイト:レイチェル カーソン日本協会
★参考サイト:レイチェル・カーソンについて
ぴんとこない方も「沈黙の春」の著者と聞けばお分かりになる人が多いのではないでしょうか。
「沈黙の春(原題:Silent Spring)」は,化学薬品による環境複合汚染と破壊の実態を初めて告発し警鐘を鳴らす先駆けとなった本としてあまりにも有名です。
かの有名はケネディ大統領をさえも結果的には動かしました。
「地球環境」という概念が実質的に我々の中に芽生えたのはこの本のおかげかも知れません。
この「沈黙の春」は中学や高校の英語の教科書にも載っていたことがあるので,英語学習の過程で知っている人も多いかも知れませんね。
私も次のような一節が中学の英語の教科書にあったのを覚えています。
「春になっても,鳥のさえずりが聞こえない。魚は飛び跳ねない。新しい生命が生まれてこない」
「沈黙の春」の中でのカーソンの言葉,
『自然界の保全について,われわれが慎重に欠いていたことを未来の世代は決して許さぬだろう。』
が,とても印象的です。
「沈黙の春」も未読であればぜひ読んでいただきたい1冊ですが,ここで紹介するのは「センス・オブ・ワンダー(原題:The Sense of Wodner)」という彼女の遺作です。
執筆中にガンにおかされたレイチェル・カーソンは「沈黙の春」を書き終えた後,最後の仕事として「センス・オブ・ワンダー」出版の準備に取り掛かかりました。
しかし,時は非情にも彼女にそれだけの猶予を与えてくれませんでした。彼女の死後1年たって,友人たちの手によって彼女の夢を果たすべく出版されたのです。
この本の中でレイチェル・カーソンは,
「子どもたちの世界は,いつも生き生きとして新鮮で美しく,驚きと感激にみちあふれています。残念なことに,わたしたちの多くは大人になるまえに澄みきった洞察力や,美しいもの,畏敬すべきものへの直感力をにぶらせ,あるときはまったく失ってしまいます。(上遠恵子訳より引用)」
と述べ,
だからこそ,美しいもの,未知なるもの,神秘的なものに目を見はる「感性」を育んで欲しいというメッセージを読者に投げかけているのです。
そして,この「感性」こそが「センス・オブ・ワンダー」なのです。
レイチェル・カーソンは続けます。
「わたしたちが住んでいる世界のよろこび,感激,神秘などを子どもといっしょに再発見し,感動を分かち合ってくれる大人が,すくなくともひとり,そばにいる必要があります(上遠恵子訳より引用)」
私はこの本を「センス・オブ・ワンダー」を取り戻したい大人に,そして子供たちとこの感性を共有したいと思う人たちに読んでいただきたいと願わずにはいられません。
自然を想う人,ネイチャーフォトを志す人には座右の書として,そして,これから子育てをする人たちには心の育児書としてそばにおいて欲しい名著としてお薦め致します。