写真は『引き算』|撮影術

いろいろな意味で「写真は引き算」と思います。

写真撮影は、足し算をしたくなる欲求との闘い、と言ってもよいくらいです。

広大な風景からどの部分を切り取るか、小さな野の花をどう作品に仕上げるかは、主題によって決まります。

その主題を際立たせるために不必要な部分は構図から省きます。

そのために撮影場所を移動したり、アングルに工夫をしたり、各種の焦点距離の長さが異なるレンズを使い分けたりするのです。

ズームレンズもより構図を決めやすくするために存在するとも言えます。

山岳写真の撮影に慣れていない人が山を入れた風景を撮ると必ず空の部分の面積が多くなります。

概ね2分の1~3分の1くらいはあるでしょう。なぜかそうなるのです。(^^)

上高地に旅行に行って、運良く天気に恵まれ穂高連峰が綺麗に姿を現しているのに、撮った写真には下部に穂高の山並み、その上部には雲1つ無い青空が広がっている。

そのような写真を何度も見たことがあります。

「もったいないな~!」と思ってしまいます。

山の写真に限らず,傾向としては,「あれもこれも」入れた構図になるものです。

こうなると何が主題か分からなくなります。

そこで撮影者が「引き算」を行う必要が生じるわけです。

それも、積極的に努めて行うのです。そうでないと、いつの間に余計なものが入っていることになるものです。

この点において撮影者の写真理論とセンスが試されます。

自然の演出効果を利用した引き算

雲海の写真

普通の山の写真と谷間に霧が発生して雲海になっている写真とどちらが印象的かというと通常は後者でしょう。

なぜでしょう?

もちろん,雲海そのものが躍動感ある自然現象であるからということもあるでしょうが,雲海によって写って欲しくないものが消え,山の上部だけが見えているから,高さと広大さをより感じるという理由もあるでしょう。

霧の演出効果による引き算

この写真の被写体のある場所は、ピーカンの時には”絵”にはなりません。

しかし、この時はこの辺り全体が雲海の中にあり、背景にある山並みも消えていました。

辺りを覆う霧が一瞬薄くなったと思ったら、周囲の樹木と山頂部分だけが姿を現しました。

普段は特に写欲の湧かない風景でも、霧の演出によりとても印象的な風景になってくれました。

森の中で霧が発生し,その結果,1本の木が浮き出し”絵”になるようなこともありますが、同様に霧の演出効果ですね。

いずれの場合も,何でもない風景が霧や雲海によってフォトジェニックな被写体に変身した例です。

つまり,ここでは霧や雲海という自然現象が「引算」をやってくれるのです。

構図とボケによる引き算

視点を変えて,ポートレートや花のアップ写真を考えて見ましょう。

ボケによる引き算の演出効果

そもそも、どう切り取るかを決めること、つまり構図を決めることが難しいです。

ですが、話を進めるために、構図は決まったとしましょう。

その後、通常は「被写体の前後(特に、背景)を必要なだけぼかす」撮影方法を選択する,ということです。

背景をぼかすことで主題を浮き出させるのです。

場合によっては、ボケを活かすために構図を再調整することもあるでしょう。

ボケが綺麗なレンズを選ぶとさらに効果的です。絞り値の選択も重要です。

 ★参照記事 ⇒ ボケ味について|Bokeh

これは絞りの効果によって「引算」を行っている例です。

この「引算」,理屈では理解できても実際にやってみると難しい場合があります。

特に、自然が与えてくれた「引き算」ではなく、撮影者自らが意識的に行う「引き算」、すなわち、構図における「引き算」はかなり難しいと思います。

構図に対する理論の習得が必要です。

”センス”のある写真を撮る人は、その背景にはしっかりと理論も持っているものです。

★参照記事 ⇒ 日の丸構図と黄金分割|写真の構図を考える

まとめ

普通は,構図において「引き算」をやり過ぎるという失敗は稀でしょう。

つい欲張って、あれもこれもと情報を入れすぎて、主題を絞り切れないものです。

記録写真、観光写真ならそれでも良いのでしょうが、”作品”となると理論を学びセンスを磨く努力が必要です。

デジタルカメラを使うようになって、その便利さに撮影で少し雑になっている自分を戒めるために書きました。


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