ボケ味について|Bokeh

レンズの持つ表現力の1つに「ボケ味」があります。

ピントが合っている部分は目で見ているように見えますが、その前後、特に後ろ側は、焦点位置から遠ざかるにしたがい焦点の合っていない(アウトフォーカスの)状態が強くなります。それが「ボケ」です。

ボケは、主題(テーマ)をくっきりと浮かび上がらせたり、柔らかい雰囲気を醸し出したり、などと写真表現には欠かせない演出効果をもたらします。

ボケの大きさ(ボケた状態の強さ)は次のような要素で決まります。

(1)絞り値が開放値に近づく程大きくなる

(2)被写体との距離が近い程大きくなる

(3)レンズが焦点距離が広角から望遠にいく程大きくなる

※補足:焦点距離と絞り値が同じでも、ボケの大きさは異なることがあります。

そのボケ方が美しいか否かということ、が「ボケ味」という訳です。

人間の目は良くできていて、単純な言い方をすると、パンフォーカス(すべてにピントが合っている状態)に見えます。

つまり、人間がボケを味わえるのは、レンズを通した場合だけなのです。

したがって、静止画や動画ならではの表現法といえるでしょう。

ボケ「味」とは?

さて、この「ボケ味」ですが、客観的な要素と主観的な要素があり、善し悪しの評価は難しい場合もあると思います。

客観的な要素としては、「絞り羽根の枚数と形状」があげられます。

屋内でもフィールドでも、逆光状態撮影するとアウトフォーカス部分に、点光源ボケが現れることがあります。

点光源があると認識していなくても、周囲よりも明るい部分がボケると点光源ボケになることがあります。

この点光源ボケは、柔らかい幻想的な演出効果があり、私は山野草の撮影では点光源が現れるような撮り方をしています。

ですが、この点光源ボケは絞り羽根の枚数と形状の影響を大きく受けます。

ボケ味

左は開放値で、右は少し絞って撮影しています。

右の点光源ボケには、角が認識できます。つまり、多角形だと分かります。

それに対して、左のは“円形”に見えます。その分、ボケが美しいと言えます。

この程度の差ならまだましで大きな違いとはならないかもしれません。

しかし、

絞り羽根の形状

これら2つの絞り羽根がどのように点光源ボケに影響するか明らかでしょう。

左の絞り羽根では、点光源ボケも丸鋸のようにギザギザになります。

bokeh

まだ上の多角形ボケの方がはるかに美しいですね。

★参照記事 ⇒ Contax Zeiss レンズの絞り羽根の形状

こういう絞り羽根の影響を重視した結果、最近のレンズは当たり前のように「円形絞り」を採用しています。とても良い傾向だと思います。

銀塩写真時代に私の愛用した、そして今オールドレンズとして楽しむようになった、コンタックス・ツァイスのレンズがこの円形絞りを採用してくれていたらどんなに良かっただろうかと思います。

確かに、円形絞りはとても有り難いのですが、その反作用(副作用?)もあります。

それは、美しい「光芒」が得られにくいということです。

★参照ページ ⇒ 絞り羽根と光芒の数の相関関係

他の客観的要素としては、2線ボケ(細い枝状のものが2本に見えるボケの状態)があります。なんだかうるさく感じて好ましいボケではありません。

しかし、程度によっては「2線ボケだ!」と言われても分からない場合もあります。

呼び方が分からないのですが、点光源のボケの輪郭がやたら強調されてくっきりと見える場合があります。これも美しいとは言いがたいです。

また、デジタルのセンサーが影響しているのか、点光源ボケが渦巻き状になったり、レンコン状(穴が小さく多数)になることもあります。

このボケが出たらショックです。ボケを活かした作品では、”台無し”になる可能性もあります。

さらに、多分に主観的なところもあるのですが、

アウトフォーカス部分の全体的なボケ方が平面的か立体的であるか,などと議論されることもあります。

ボケ味には捉えどころがない要素もありますが、少なくとも明々白々なボケの要素に関しては選択するレンズや絞り値などによってコントロールするように心掛けたいものです。

ちなみに、最初にボケ味に言及するようになったのは、たぶん日本の写真文化においてであり何十年の歴史があると思います。

しかし、少なくとも英語圏では2000年前後からようやく「ボケ味」という概念が「bokeh」という英語で触れられるようになったようです。


◎参照ページ

本ブログの母体サイト『石鎚自然写真館情報の森』のボケに関する情報があります。情報が多少古いところもあるかも知れませんが、参考のためにリンクを記しておきます。

  1. 理想のボケを追求したレンズ「135mm F2.8 [T4.5] STF」
  2. ボケについて(1)
  3. ボケについて(2)
  4. ボケについて(3)

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