初心者のための「Lightroom」RAW現像例-春の妖精”カタクリ”を愛らしく表現する

アドビの現像ソフト「Adobe Photoshop Lightroom 5」を使った現像例の第4弾のモチーフは「春の妖精(=早春植物)」と呼ばれる”カタクリ”です。

★「春の妖精(=早春植物)」については、こちらの記事『春の妖精』をご覧ください。

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ネイチャーフォトとして取り組んでいる主テーマの1つが山野草の撮影ですので、鉢植えや植物園のカタクリではなく、自然の中に自生しているカタクリの花をその環境を生かして作品に仕上げます。

正確には、自生地のカタクリが鹿の食害で壊滅的被害を受けたので、登山口にある”園地”で種から育てられたカタクリたちですが、ほとんど”自生”に近い状態で群生しています。

昨日(2015年4月16日)撮影したばかりの”カタクリ”をモチーフに現像作例を紹介したいと思います。

奇跡的に傷みの全くないきれいな個体に出会えたので、その個体が主人公の写真を現像対象にします。

撮影したときの状況は、晴れ時々曇りながら、くっきりとした青空ではなく大気中に水蒸気が多くて、薄いベールで太陽光が拡散されているような感じでした。

しかも、林床ということもあり、拡散された光が木漏れ日となっていっそう柔らかい日射しとなっていました。

ちなみに、無料体験版の使用期間が終了しましたので、製品版を購入し4月14日に正式に【Adobe Photoshop Lightroom 5】のユーザーとなりました。

林床で柔らかい光を浴びるカタクリのRAW現像プロセス

1.作品の完成イメージを構築する

いつものように、現像作業に取りかかる前に、撮影時の狙いを思い出し「現像の方針(=作品の完成イメージ)」をまとめます。

基本的には、完成イメージはシャッターを切るときには決まっているべきですね。

そのために、構図やボケの大きさなどはもちろんのこと、デジタル写真の世界では、現像しやすいRAWデータを作ることまで意識して、淡い色の露出に神経をつかって撮影すると現像もやりやすいです。

この記事を書き始めた日の午前中(昨日)に撮影したばかりなので、シャッターを切ったときの思いがいっそう鮮明によみがえってきます。

カタクリの完成イメージ

左の原板を右のような明るいソフトな感じに仕上げます。

過度に派手にならないように気をつけながら、”記憶色”に”期待色”を加味して作業をします。

2.現像対象をよく観察する

クリッピングを表示」させると、部分的に黒ツブレしているところがあります。

明るく、且つ柔らかい雰囲気に仕上げるのですから、黒ツブレは無い方がよいでしょう。

現場では、ハエの仲間のような小さな虫が飛んでいましたので、映り込みが心配でしたが、このコマは大丈夫なようです。

3.「プリセット」や「カメラキャリブレーション」で様子をみてみる

何度か「プリセット」を試してみましたが、私の作風では『ポジプリント調』がかろうじて使えるのみです。

ネット上に公開されている「プリセット」を導入するのなら別でしょうが、これからはもう使うことはないと思います。

それよりも、『カメラキャリブレーション』の方が使い勝手がよいと思います。

★参考記事 ⇒ 現像ソフト「Lightroom 5」のカメラキャリブレーションとは?

Camera Vivid を選択

Camera Vivid」を当てるとこのような感じになります。

Camera Vivid を選択した画像

 「Adobe Standard」や「Camera Neutral」などから始めてもよいのですが、「Camera Vivid」が”記憶色”に近かったので選択しました。

ただ、その分、コントラストが強くなっていますので、そのあたりは後で調整の必要があります。

作業を効率化して少しでも現像にかける時間を少なくするためにも、「カメラキャリブレーション」など、用意してくれている”プリセット設定”は大いに利用しましょう。

4.ホワイトバランスと全体の明るさおよび色調を調整

「基本補正」パネルでは、特別な意図がなければ、全体的に補正する場合は『WB(ホワイトバランス)』→『階調』→『外観』の順番にやっていくのがよさそうだとこれまでの現像例で分かりました。ただし、修正ツールなどで細かな作業をする場合は、臨機応変に対処する必要があります。

風景では、「色温度」は「5200」を基準にして様子を見るのですが、山野草の写真では赤みが強すぎるので、「4500~4900」くらいの間で設定することが多いです。

基本パネルでの設定

 この場合も、落ち葉が赤っぽくなるので、「4500」にしました。

「クリッピングを表示」させて作業をすると、「Camera Vivid」を当てたことで「白トビ」が少しですが発生していました。

同時に、「黒ツブレ」も増えていましたので、両者とも発生しないように調整しました。

その結果が、上の画像の右の数値です。

ハイライト・シャドーなどを調整

しかし、これでは肝心の花色に暖かみが不足しているので、『HSL』パネルで「パープル」を調整します。

ちなみに、『HSL』パネルとその横にある『カラー』パネルでは、特定の色に対して明るさや色の変化を加えることができます。(色別にホワイトバランスや露出量を設定する訳です。)

「パープル」の彩度を「+12」に、輝度を「-12」に設定しました。

パープルだけ調整

イメージに近い雰囲気になりました。

 5.最終チェック

撮影時にイメージした作品になるには、何かが不足しています。

基本パネルの「外観」で、自然な彩度と明瞭度を調整します。

今回の作品では、この段階でするのが、「”記憶色”に”期待色”を加味」する作業です。

微妙な彩度の調整には、「彩度」ではなく「自然な彩度」を使います。

その方が、彩度を高めたいところだけに過度になりすぎないように調整できるからです。

基本パネルの外観は重要

また、微妙なコントラストの調整には、「コントラスト」ではなく「明瞭度」を使います。

「明瞭度」をマイナスに補正するとソフトなイメージに仕上がります。

林床の愛らしいカタクリ

これで完成作品とします。

どうでしょう、”春の妖精”というイメージになったでしょうか?(^^)

★他の現像例

現像前

現像後

後書き

撮影前の心得ですが、現場についてカタクリが咲いているからといって、いきなり撮影するのではなく、環境も含めてよく観察しながら一回りして作品イメージを思い描くことをお勧めします。

ガツガツ撮影するとよい作品は撮れないものです。

一口にカタクリといっても、その花色は多彩です。濃い色から淡い色まで、そして中には白花まであります。

旬の淡い色と時間の経過で色褪せて薄い色になったものとは美しさが異なります。

その違いが分からないで、「白花だ!」と喜んで撮影していた人がいますが、カタクリがかわいそうです。

順光で撮影するのか、それとも逆光か、あるいは反逆光か、それによっても作品が大きく異なります。

”一期一会”の精神でその瞬間の出会いを逃さないことも大切ですが、美しいと思ったその瞬間を間違いなく切り撮るためにも、まずはよく”観察”しましょう。

そうしているうちに、作品イメージも湧いてくると思います。

撮影の際によく観察を行っていた場合の方が、結果的に現像作業もやりやすくなるものです。


ついでながら、

群生地の入り口で、いきなり三脚をセッティングする人もいました。

そういう人は大抵がプロ並みの機材を持っています。

私は三脚は持って行きもしませんでした。

カタクリが咲くような状態なら十分に光が回っているので、使う必要性がないからです。

今のデジタルカメラをもってすると、三脚を使わなければならない場面は限定的なはずです。

しかし、ネイチャーフォトの撮影には三脚を使うものだという固定観念がいまだに抜けていない人たちが多すぎます。

(三脚を使わない方が機敏な撮影ができるような場面でも、です。三脚を使っているためにシャッターチャンスを逃しているように思えてならない場面に遭遇することも珍しくありません。)

三脚は他の撮影者や見物人に優しいものでない場合が多いという事実も認識すべきです。

その上、山野草の自生地なら生育環境にも優しくない場合があります。脚が何かを傷めるかもしれないからです。(”山野草撮影者”は同時に”山野草愛好家”であるべきです。)

実際、昨日も、三脚を使っている人の中には、ロープの向こう側に脚の1本を入れている人がいました。

園地のあちこちに、いろいろな花の芽が出始めているので、遊歩道以外に立ち入らないようにとの注意書きがあるにも関わらず、撮影者、観光客を問わず、それを守らない輩がいます。

撮影者のマナーの悪さが日本各地で問題になっていると聞いています。(その中には、三脚による”場所取り”問題もあります。)

少なくとも、マナーという視点とデジタル時代の撮影方法という視点の両面から、三脚使用に関して再考してもよいのではないかと思います。(自戒を込めて)


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